レビュー詳細

アドベンチャー 2011年 12月 19日 4315
ミステリゲームとしては……
(Updated: 2016年 6月 08日)
 ゲーム内にミステリー編、ビンゴ編、死神編、スパイ編、妖怪編、あと鎌鼬編とポポリン編の7つのシナリオがあり、初めの5つのシナリオを全て読みきれば、残るトロフィーは【金のしおり】、【プラチナのしおり】、【異次元少女ポポリン編コンプリート】の3つとなる。
ただ、この全て読み切るというのがなかなか面倒臭く、上記3つのトロフィーは殆ど問題とならないだろうから、やはり【完読】(読了率100%)が一番ネックになるだろうと思われる。
この読了率、いつ増えているかといえば、基本的に選択肢が表示された時と、未読のエンドを読みきった時である。即ち、どちらを選んでも展開の変わらない選択肢を態々戻って選ぶ必要は無さそうである。また、同一エンドとなる選択肢は、途中で方向キー下を押せば既読であることがわかるので、そうなった時点でフローチャートから別の選択肢へ飛んで良い。

 本wikiには、スパイ編において3つのパターンを試すこと、とあるが、「銃撃戦の最中に弾を使い切る」「残弾数が無い状態で銃撃戦に突入する」は、片方で良い。正確に言えば、タッチもしくはスティック操作を要する銃撃戦では、このどちらかで良い。数カ所操作を要する状態になる前の文章で弾を撃つシーンがあり、そこでは到着時残弾数0の場合と操作時撃ち切りで展開が多少異なるため両方必要である。
なお、自分の場合【エンディングコンプリート】と【完読】の取得は同時だった。【エンディングコンプリート】時に読了率が足らない場合、選択肢を出現させることを目標に攻略サイトを見てみよう。



 さて、表題の件である。ネタバレをしまくるのでまだミステリー編が終わっていない人はこの段落を読むのをやめて欲しい。
結論を述べておくと、本作は駄作だ。



ゲームの本編であるミステリー編1周目は、大きく分けて3つのエンディングからなる。一つ目・犠牲者が一人で済んだトゥルーエンド。二つ目・皆殺しとなるバッドエンド1。三つ目・主人公が死ぬバッドエンド2。
この構成にはちょっと待てよと言いたくなった。他のかまいたちの夜シリーズがどういう構成なのか知らないからこれがシリーズ恒例なのかもしれないが、かなり疑問な構成である。
どういうことかといえば、二人目の犠牲者が出た時点でバッドエンド確定なのだ。これはおかしいだろう。一人目の殺人にはしっかりした理由が存在している計画的なものだが、二人目の殺人は偶発的なものだったのでそこから綻びが生まれ犯人がわかる、というのがよくあるミステリ小説の構成である。本作の場合一人目の殺人から偶発的なので、それ以上の犠牲が出ないエンドがあるのは当然だろう。しかし、犠牲が二人で済んだエンド、三人で済んだエンド、四人で済んだエンドなど、途中で連続殺人を止めることのできた、ノーマルエンドと言うべきエンドがあってしかるべきであると思う。皆殺しエンドや主人公死亡エンドは最後の最後だろう。なにせこれでは主人公やその他が死んだ理由がわからないのだ。犯人の心理から言って、証拠隠滅のために二人目の犠牲と、一人の行方不明はまだ説明がつくかもしれないが、それ以上の犠牲を出す意味が犯人にはない。となると、疑心暗鬼による犯人以外の人物による殺害が検討されるが、結局誰が誰をどうしてどのように殺したのか、謎のままバッドエンドとなる。なんというか、片手落ち感が強い。
分岐の存在しない小説では絶対に出来ない、ノベルゲームにしかできない点が、このいつ連続殺人を止められたか、にあると思う。小説の名探偵は、本作のトゥルーエンドのように、最小限の犠牲で事件を解決するか、もしくは全ての殺人が終わってから全ての謎を解き明かすため、犠牲者が最大限かの二択だ。これは小説という媒体の必然だろう。しかし、ノベルゲームはそうではない。途中で止められないか?というプレイヤーの自由を殺している本作は、ミステリー編について言えば、駄作と評されても仕方がないように思う。
自分の場合、初めバッドエンドルートへ進んだため、その真相(一人目だけでなく犠牲者全てのwhy,who,how done it)を知りたくてワクワクしながら読み進め、最終的に全部謎が放り出されてバッドエンドだったので、完ルートへ進み、一応真相はわかったものの消化不良感満載であった。あたかも「殺戮にいたる病」を読み終わった時のように。あっ、あの小説の作者と本作のライターは一緒だ……。
なお、残りのシナリオは所詮おまけなので、別にこんな長文を用いて批評する必要性を感じない。スパイ編をやりながら「スネークなら見つかってもどうとでもなるのになあ」と思った程度。



ネタバレ終了。

ところで、賛否あるようであるが、個人的には妖怪編は普通に面白かった。特に沙都美役、小笠原亜里沙さんによるキレの鋭いツッコミが良かった。声に出して笑いました。まあ、自分の笑いの沸点は低いので、面白くない、という人も居るのは理解できる。




総評として、ミステリー編は、ミステリゲームとしては駄作。でも妖怪編が面白かったんで、瑕疵を多少カバーしているかなと思う。
トロフィーは簡単である。エンディングコンプリート+α程度でトロフィーコンプリート可能。

コメント

メールアドレスが公開されることはありません。

© 2024 プラチナトロフィー